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院長瓦版

(平成17年9月号)
歯は一度削ると、どんどん悪くなる?

 よくこんな話を患者さんから聞かされます。小さな虫歯を削ったら、しばらくして回りがまた虫歯になり、金属を詰めたら数年でしみてきたので神経を取り冠を被せて、また数年で今度は根っこの先に膿が溜まり、結局抜かなくてはならなくなった、最初に治療をしなければ良かった。

 これはある意味では真実なのかも知れません。その患者さんの歯に起こった出来事だけを述べてみるとこういう結果になってしまうのでしょう。

 しかし、物事には必ず原因があります。担当医が私と同じで下手だった、これも重要な原因と考えられます。ある大学の歯学部で調査してみたら歯に詰めた金属の耐用年数は5年半、冠を被せたものは7年だったそうです。大学病院の丁寧なはずの治療をもってしても、この数字です。おそらく当院の平均も大差ないのではないでしょうか。

 しかし、これも私が患者さんによく話すネタですが、私は子供の頃から虫歯だらけで、大学入学時なんと虫歯が14本もありました、それを治さないと病院実習に出してもらえないので必死に治したのが22歳の時です。同級生の実験台にもなりました、詰め物や冠は勉強のため教えてもらいながら自分で作りました。それが28年経ってもちゃんと口の中で機能しています。つまり、虫歯だらけの歯の弱い人間でも、心を入れ替えて毎日きちんと歯の手入れをしていれば、学生が作った程度の冠や詰め物でも、ほんとうに長い間何事もなく使えているわけです。

 虫歯は口の中の細菌により歯のカルシウムが溶かされるのが原因です。この文書を読んでいる方にはまず「細菌の仕業だ」ということを知っていて頂きたいのです。ですから虫歯を防ぐには、口の中をいつまでも酸性の細菌が元気に増えていく環境にしないように、食べたらすぐに歯磨きをする、それが無理な状況ならせめてブクブク強めのうがいをする。細菌の塊である歯垢を徹底的に除去する、それには自分の口のどこに歯垢が着きやすいのかを知っていなければいけません。「歯ブラシだけでは歯垢を完全に除去できない」ということも覚えておいて下さい。

 口の中の細菌はゼロにはできません、善玉の細菌までいなくなっては逆に困ります。問題は歯の周りにぬめっと付着するプラークと呼ばれるバイ菌の塊を除去することですから、あまり強力なうがい薬というのも考えものです。

 ここでは細かく歯の磨き方やプラークを除去する器具について説明はできません。歯並び、治療部位各人まちまちですから、ぜひ一度、歯科医師、歯科衛生士に詳しい話を聞いてみて下さい。



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