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院長瓦版

(平成17年8月号)
「ストレスと咬み合わせ」

 今月は現代人のストレスと歯軋り、喰いしばりについて考えてみましょう。

ここ数年、藤本歯科医院でも「歯軋り防止装置」(マウスピース)を作る患者さんが増えています。もっとも以前は歯がしみる、咬むと痛いといった症状が出ても、むし歯や歯周病がなければ経過観察で終わらせていたケースでも、研究が進み、ストレスからくる喰いしばりが原因になることがある、ということが分かってきました。そのため、咬み合わせのバランスを調整するマウスピースを使う機会が増えた、ということなのです。

 現代人は本来動物が持っている本能的な行動を理性が抑制するように、脳の機能が変化した動物だそうです。しかし本能、情動を無理に抑制するために情動ストレスが生まれ、さまざまな全身的問題が出てきている、という話もあります。

 動物はストレスを発散するために「咬む」という動作をするそうです、赤ちゃんが指をしゃぶるのもその表れですし、飼い犬が硬い骨や靴を真剣に噛み続けるのも同じことです。野生動物も強いストレスが加わると何かを咬んだり、場合によっては仲間に咬み付くようになります。

 人間は理性の動物ですから、手当たりしだいに咬み付くことはまずありません。しかし睡眠時、無意識の中では強力に喰いしばる、歯軋りをするという行動が出現します。この行動により人間は自分のストレスを発散して、精神的、肉体的なストレスを解消しているので、無理にそれを止めさせることは逆に良くないのだそうです。

 そうは言っても、現代人は歯がダメになったら死ぬだけ、というわけにはいきません。咬む力が一部に集中しないように咬み合わせを直したり、マウスピースを入れたりして歯が長持ちするように工夫をします。勿論、余計なストレスを貯め込まないことも重要だと思います。座禅を組んで「無」の境地に入るとか(すごく難しいですけど)自分なりに何か考えてみて下さい。

 最後に、どんな人が喰いしばりで、歯を痛め易いかというと、まずアゴがしっかりして咬む力が強い人、上の前歯が出ていて咬み合わせが深い人、アゴが細くても歯並びが悪く奥歯しかよく咬めない人、もしご自分の口の状態がこの中に入るようなら要注意です。

 ストレス自体は病気ではありませんが、循環器系では血圧上昇、消化器系では潰瘍、免疫系では免疫力の低下というように、病気の原因をつくる恐ろしいものということになります。人間でも情動的なストレスを抑制できなくなると、攻撃性を持ってくることは今や社会現象として現れています。歯科における咬合痛などはまだ人体にとっては軽い症状なのかも知れません。



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