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院長瓦版

(平成15年10月号)
入れ歯安定剤を科学する

 食欲の秋、今月のテーマはお年寄りにおなじみの「入れ歯安定剤」について、すこし考えてみました。

 大きな入れ歯を入れたことのある患者さんならきっと1度は使ったことがあると思いますが、安定剤は1913年にすでにアメリカで特許申請が出ているほど、長い歴史を持っています。正直な話、100年にも渡り入れ歯安定剤が使い続けられているということは、とりもなおさず、ゴムやプラスチック、金属等を使った歯科医院で作るもっともらしい義歯では、「良く噛めない」ということなのです。この原因についての話は、長くなるので別の機会に話しましょう。

 安定剤と一口に言っても、クリームタイプ(ポリグリップ等)、粉末タイプ(ファストン等)、テープタイプ(タッチコレクト等)、クッションタイプ(タフグリップ等)があります。

 成分はクリームタイプがグリセリンと抗菌剤。粉末タイプは吸水性高分子ポリマーと植物性糊。テープタイプも粉末とほぼ同じ成分。クッションタイプはビニール樹脂とアルコール。大雑把にはこんなところです。

症状別の使い道

 それでは義歯の状態別にどのタイプを選べば良いか、お話しましょう。粉末、クリームタイプは、普通に義歯を入れている分には痛くないが、話をすると内部に空気が入って、緩くなる、落ちやすいといった全体にちょっと義歯に緩みがある場合に適しています。また、下顎が痩せて、アゴの土手がなくなっていると、義歯は必ず動いて骨にぶつかり、粘膜が白く擦れてきます。そんなケースにもこのタイプがお勧めです。

 義歯がもうガタガタであちこち痛くてたまらない。そういう時はクッションタイプしかありません。伸びが悪いためちょっとの隙間を埋めるよりは、全体に当たりを和らげるように、内面に十分出して使います。1日使ったら余分にはみ出した部分を、ナイフでカットして下さい。はみ出した部分は汚れの原因になります。

 テープタイプはあまりお勧めできませんが、粉末とクッションの中間といったところでやはり中途半端な使い勝手です。

 長く使って、粘膜に害はないのかという実験では、クリームタイプが毒ではないが細胞活性を一番妨げる、という結果が出ています。クリームタイプは毎日取り替えることをお勧めします。

 クッションタイプはあまり細胞には影響はないようですが48時間たつとやはり細胞活性が10%ほど落ちてきます。(もっと知りたい患者さんは歯科医師にご相談下さい。)



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